安洞院の歴史


■開山と本寺

当山・安洞院は香澤山安洞院と称し、文禄4年(1595)2月、福島市小田、位作山陽林寺第六世玉峯芳積大和尚により開山された曹洞宗寺院です。本寺・陽林寺は戦国の武将伊達政宗の曽祖父稙宗公の開基になる古刹ですが、その系譜は静岡県森町の雲林寺、同町の大洞院、更には大本山總持寺、大本山永平寺に連なっています。
 

■開基について

当山の開基は度重なる火災により不詳です。しかし、寺に伝わる開基位牌には、香澤院殿成案現公大居士と識されており、戒名から思量すると戦国の武将であったものと思われます。
 

■伽藍の復興

開山以来、三世代元禄14年(1701)および十一世代万延元年(1860)の二度、火災により全山を焼失、文久2年(1862)、中興圓山玄明代に復興するも本堂の再建はなされませんでした。昭和53年12月、十五代玄邦代に至り、118年ぶりに悲願であった本堂、翌年に位牌堂が建立されました。

■400周年記念事業

以後、十六世俊邦代に至り、開山堂、庫院、会館、事務所、管理棟、総門等の諸堂宇が完備され、併せ1600区画(当時)のしのぶ霊園の開発も進められました。平成6年10月1日、管長梅田信隆禅師を特請、因脈会、開山400周年記念の大法要が厳修され、山門「千松関」が建立されています。
 

■安洞院と文知摺観音

安洞院は開山以来、史跡文知摺観音の別当職を務め、三世漢補和尚は、水月庵中興の祖とされる大了是道庵主と計り、観音堂、水月庵を1万人の浄財を以って、宝永6年(1709)再建、四世恵禅和尚は享保13年(1728)鐘楼堂(後、昭和19年軍に供出)を建立、八世光隆和尚は名工、藤原右源次義高をして、現在重要文化財指定の多宝塔を文化9年(1812)に建立させています。文知摺観音は平成28年10月に新寺・普門院として新たな法人格を取得し、独立した宗教法人になりました。安洞院16世俊邦和尚が開山となり、拝観料制度を廃止し誰もが自由に散策できる史跡として新たな歴史を歩んでいます。 


陽林寺山門

安洞院歴代住職の墓

文知摺観音・普門院 観音堂

安洞院の略年表


古墳時代

安洞院裏山峨嶁山(がろうざん)中腹に多くの古墳群が作られる。
 

697~706年

文武天皇の時、僧行基により、文知摺に聖観音像が安置される。
 

864~869年

源融(みなもとのとおる)が按察使(あぜち)として文知摺を訪ねる。
この間に短歌(しのぶもちずり)が作られる。
 

延喜5(905)年 

 古今集に「みちのくの信夫もちずり誰故に乱れ染にし我ならなくに」
源融の和歌が紀貫之らにより撰される。
 

永正4(1507)年

伊達植宗公(正宗の曽祖父)、雲林寺五世喜庵祥悦和尚を招き安洞院の本寺・陽林寺を開く。
 

文禄4(1595)年

本寺・陽林寺6世玉峯芳積和尚、安洞院を開山。
 

元禄2(1689)年

松尾芭蕉が曽良と共に文知摺を訪ねる。
「早苗とる手もとや昔しのぶずり」を奥の細道に残す。
 

元禄14(1701)年12月19日

安洞院全焼
 

宝永6(1709)年

安洞院3世綴巖漢補大和尚、文知摺に観音堂・水月庵建立。
 

享保13(1728)年

安洞院4世海印恵禅大和尚、文知摺に鐘楼堂建立。
 

安永8(1779)年

水月庵中興の祖、大了是道庵主、経蔵建立。
 

寛政6(1794)年

京都の俳人・丈左房、芭蕉の句碑建立。
 

文化9(1812)年

安洞院8世光隆和尚発願の多宝塔が建立される。
大工は名工藤原右源次義高。
 

万延元(1860)年

安洞院、二度目の全焼。
焼け跡より文知摺観音本尊が見つかる。
 

文久3(1863)年

12世円山玄明和尚、庫院と仮本堂を再建
 

明治26(1893)年

正岡子規、文知摺を訪ねる。
「涼しさの昔をかたれしのぶずり」を詠む
 

昭和52(1977)年

しのぶ霊園開設
工事は期を重ねるごとに区画を拡張し、平成29年現在、
総区画数約2,300区画を擁する霊園へと成長しました。
 

昭和53(1978)年

本堂建立・位牌堂建立の後、昭和62年に現在のしのぶ会館、
平成5年には山門と開山堂が建立され伽藍が一新されました。
平成6年に開山400周年を迎え、管長梅田信隆猊下を請し、
因脈会記念法要が奉修されました。
 

平成8(1996)年

芝生型自然葬・永代供養墓地「祈りの丘」開設。
 

平成27(2015)年

しのぶ会館増築、歴住塔改修、本堂、位牌堂改修工事。
17世晋山結制・16世退董各種法要が厳修される。
 
 
 

安洞院歴代住職


開山    玉峯芳積大和尚
2世    快巖傳慶大和尚
3世    綴巖漢補大和尚
4世 中興 海印恵禅大和尚
5世    大運益鳳大和尚
6世    雲外益春大和尚
7世    篤翁文耕大和尚
8世    大道光隆大和尚
9世    大満得龍大和尚
10世   大圓無角大和尚
11世   大箸恵琳大和尚
12世中興 圓山玄明大和尚
13世   大意玄雄大和尚
14世中興 瓦嶽玄彰大和尚
15世重興 大慈玄邦大和尚
16世中興 禅嶽俊邦大和尚
17世   惟嶽俊顕大和尚
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