法話2009年3月

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法話2009年3月  安洞院短信3月号掲載

極楽と地獄

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禅僧の昔の逸話にこんな話があります。
舞台は戦国の世。勇猛で名高い武将がある禅僧のもとを訪ねた時のお話です。

白隠禅師_極楽と地獄

イラスト:副住職

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武将は禅僧に尋ねた。
「あなたは徳の高い僧だと聞く。ならば極楽と地獄がどこにあるのか知っているのであろう。」
禅僧は答えた。
「ホッホッホ。ようこそお出で下さいました。ところでお主は戦国の武将ということじゃが、本当かのう?」
武将曰く。
「な、なぜそんな質問を?」
禅僧曰く。
「お主のような馬鹿面で武将が務まるとは世も末じゃのう。ホッホッホ」

武将の顔が怒りの形相に変わる。
「ぬうぅぅ。言わせておけば・・・」
禅僧は更に畳みかけるように言う。
「どこの間抜けがお主を武将にした?」

「無礼者め!叩き斬ってやるわ!」
怒りが頂点に達した武将は、刀を抜いて天高く振り上げた、とその時!
「地獄の門が開かれたぞ!」
禅僧がそう叫ぶと、武将はハッと我にかえって刀を鞘(さや)に収めた。

「め・・・面目ない。ついカッとなりました。」
「極楽の門が開かれたようじゃのう。ホッホッホ。」
武将は心を入れ替えて寺を去ったという。

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このお話は、江戸時代中期の臨済宗の禅僧、白隠(はくいん)禅師のお話です。極楽や地獄という頭の中の概念に振り回され、この世の行いが疎かになってしまう戒めを説いた教えでしょう。

3月はお彼岸を迎える季節。
お彼岸というのは墓参をして先祖や家族を敬う期間であると同時に、仏教徒としての修行期間という意味も込められています。
修行というと難しそうに聞こえますが、家庭や職場での人間関係を改めて考え直し、トゲトゲした心の角が取れて穏やかな空気の中に生きることができたとき、私たちの心の中に極楽の門が開かれるのです。お釈迦様の原点に立ち戻るのなら、自分の心の平安を保つことは修行の原点になります。

そのような心でお墓参りができたとき、私たち自身の心の極楽にご先祖様たちを迎えることができます。そして私たちの中に極楽の門が開かれて、幸せで安らかな生活を送ることこそが、ご先祖さまたちの一番の願いでもあると思うのです。

副住職 合掌

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