
法話2009年4月 安洞院短信4月号掲載
出会い
4月は新たな出会いの季節。
人の幸不幸は出会いによって決まるとさえ言われています。
皆さんのより良き出会いを祈らずにはおられません。
3月の末、働きながら職人の技を学ぶ職業訓練校卒業式に出席いたしました。3年間4200時間の授業を経て、修了証と職人としての認定証を手にして、5人の青年が卒業していきました。昼働き、なお夜学ぶことは遊び盛りの青年たちには大変な苦労だったとは思いますが、並み以上の職人になりたいという思いがこの3年間を支えてきたのでしょう。それでは、なぜ彼らがそういう思いに至ったのでしょうか。
一番は親、そしてそれぞれの青年たちが勤務する会社の親方の愛情、そして学校で指導されてきた先生たちの熱意だと思います。校長先生を務める小手森先生は昨年、板金工職人として国の名工に選ばれたほどの逸材でもあります。一流の職人技を持つ先生方の授業がどれほど青年たちを刺激、触発したことでしょう。現代ではまれに見る有難い出会いだと思います。
かつて、道元禅師は比叡山をはじめとする諸山に仏教を学びます。学問を究めた禅師はいよいよ本師を求め国内を訪ね歩きましたが、そこに求めるべき出会いはありませんでした。禅師は意を決して明全(みょうぜん)と共に中国に渡り、すぐに年老いた僧に出会います。
炎天下、汗だくでシイタケを干している老僧に対し、学問的に自信満々の道元禅師は訊ねます。
「こんな暑い時でなく、涼しくなってからおやりになったらどうですか?」
老僧応えて、「暑い時でなければ、干しシイタケはできんよ」
「それならば、若い僧侶にやらせたらどうですか?」
老僧応えて、「日本の若い方よ、修行とは何かを分かっておらんな。これは私の修行。後でやることも、他人に任せることもできんのだよ。」
ここで初めて道元禅師は修行の本質を理解し、求めるべき師匠の姿と、探していた仏道修行の在り方が明確になります。
やがて如浄(にょじょう)禅師より法を受け継いで日本に帰り、道元禅師は福井県に永平寺を開くことになります。学を究め大きな壁にぶつかった道元禅師だからこそ、行の徹底に命を懸けていた如浄禅師と見事なまでの出会いが実現したのです。
すべての人に、良き出会いあらんことを。
住職 合掌

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