
法話2008年8月 安洞院短信8月号掲載
お盆のこころ
今年もお寺の池に見事な蓮の花が咲いて、お盆を迎えます。
それにしても今年の上半期は災害や事件が多発しました。中国四川省、岩手・宮城内陸地震、ミャンマーの台風災害。世界各地で起きている戦争や内乱。後を絶たない殺人事件。特に秋葉原の事件は私たちに大きな衝撃を与えました。その犠牲となられた多くの方たちが今年新盆を迎えます。
犠牲者本人はむろんのこと、そのご遺族の心中を思うとき、まさにお慰めする言葉もなく、ひたすらご冥福をお祈りするばかりです。
そこで私たちは、有頂天になっている現代文明の災害に対するもろさと先進国家と評されている社会に生きている人間性の崩壊に改めて思いをいたさなければなりません。
かつて日本は世界でも有数な貧しい国でした。アメリカの援助無しには再興は不可能だったでしょう。しかしその時代、理不尽な殺人や、振り込め詐欺、役人の不祥事など破廉恥な事件は現代ほど多かったでしょうか。貧しさにめげずみんな一生懸命生きていたように思うのです。
貧しいという字は、分けるという字と貝という字によって作られています。貝は財をあらわしています。つまり貧しい時代にはお互いに持てるものを分かち合わなければ生きてゆけませんでした。先人たちはそうした日々の暮らしの中で他を思いやるやさしい心を一番大切にしてきました。それは一人一人が生きていくための前提だったからです。
時代が変わり先進国の仲間入りした現在、人は分かち合うことを忘れ、奪い合いのレースに夢中です。社会の富が増えるほど、このレースは加熱し止まることを知りません。勝ち組は益々勢いづき、負け組みは失意のうちに世間を恨みます。
お盆の心は先人たちに感謝し、施すことにあります。小欲ではなく少欲。つまり欲を少なめにコントロールして足ることを知り、感謝する心を忘れないようにしようという意味です。
お盆期間中安洞院でも「施食法要」が営まれます。先祖に感謝をささげ、分かち合う心と真の安らぎを子供たちと一緒に考えられたら、素晴らしいお盆になると思います。
住 職

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