法話2010年4月

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法話2010年4月  安洞院短信4月号掲載

春の小川

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春の小川はさらさら行くよ
岸のすみれやれんげの花に
姿やさしく色うつくしく
咲けよ咲けよとささやきながら

子どもの頃に歌った思い出がありませんか。この歌が作られたのは明治の末期、国文学者の高野辰之先生が作詞をされました。子どもの頃に歌った歌を六十過ぎて、改めて味わってみます。
「春の小川」は難しい言葉は一切使わずに、み仏の教えを的確に説いています。

春の小川の雪解け水は岩をはじめ、様々な障害に遭遇しても、何のこだわりもなくさらさらと流れてゆきます。私たちもこだわりを捨て、全てのものを心の中に受け入れて、さらさらと生きることができたらどんなに素晴らしいことでしょう。
そして、小川は岸辺を潤して、多くの草木を育んでいます。

春の小川は花屋さんでは売っていないような野の花・すみれやれんげの花たちに、姿やさしく、色うつくしく、精一杯咲きなさいとささやきながら流れてゆきます。

小川のせせらぎがみ仏の声ならば、野の花は私たち人間ではないでしょうか。
命あるものは全て花の種を持っています。人も含め草も木も花を咲かせて、美しくあれ、そして優しくあれと、み仏は励ましています。

春の野山には様々な花が競うようにして咲き出します。早春の椿、梅、福寿草。野一面に咲くイヌノフグリ、たんぽぽ、すみれ、つくし、れんげそう。そして日本人がこよなく愛している桜花が誇らしげに春のフィナーレを飾ってくれます。

しかし、私たちは春に咲く花をどれほど知っているでしょうか。自分の好きな花、みんなが注目する花にしか目が行きません。私たちは関心のない草や木を一把一からげにして雑草、雑木と呼んでいます。しかし、世に雑草とか雑木などという草や木はありません。私たちの身勝手な価値観がそんな言葉を作ってしまったとしたら本当に申し訳ないことだと思います。

今年の春も一木一草どれもが一生懸命に生きて、花を咲かせています。名もない花かもしれませんが、近づいて目を凝らしてじっと見つめてください。一輪一輪が本気になって咲いています。

人間も同じだと思います。一生懸命にがんばっている人たちに、みんなで暖かいエールを送りましょう。そして私たちも木に習い、草に習って、自分の花を咲かせましょう。

合掌

住 職

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