
法話2009年12月 安洞院短信12月号掲載
孤独と孤立
この一年皆様には本当にお世話になりました。おかげさまで諸行事も無事に終了することができました。山内一同心より深く感謝申し上げます。
さてこの一年の世相を振り返りますと、世の中がどんどん暗くなっていくよう気がします。
特に心配なことは高校・大学の新卒者の就職率が低下していることです。若者たちが希望の持てない社会は大きな問題です。
敗戦後の最も貧しい時代にあっても、若者たちは大きな希望を持って、勉学に仕事に励んできました。その結果世界に冠たる経済成長を遂げることができたのですが、現代はその逆の状態にあります。
豊かな世代に育った多くの若者たちが親の経済力に及ばないばかりか、ワーキングプアーなどと評されるように、自立し、結婚をして次世代の子どもたちを育てていくことも困難な状況を迎えています。
加えて問題なことは、家庭でも職場でも、多くの人間が孤立しているということです。
夫と妻、親と子がお互いにどれほど相手を理解しているでしょうか。住宅事情が良くなり、
家族の個室化が進んだことも一因かもしれませんが、最も欠けているのは心の余裕だと思います。
親の心に余裕がなくなり、子どもに対する対応がおろそかになったとき、子どもたちは動揺し、一人の人間としての自信を喪失していくようになります。やがてその子供たちが大人になったとき中には社会と適応できないもの、結婚しても破綻にいたるもの、更には子どもを産むことはできても育てられないものも出てきます。多くの人たちが手を差し伸べない限り悲劇は拡大していきます。
「独来 独去 独生 独死」という言葉があります。
私たち生きとし生けるものは全て独り来て 独り去っていく。
そして、独り生まれ、独り死んでいかなければなりません。
人生で一番大事なことは自分の孤独を自覚することです。
マンネリ化した暮らしの中で、これが永遠に続くものだと思ってしまう錯覚。妻を失い、子どもたちと離れて、初めて迫りくる孤立感。そのような状況にいたる前に本来、孤独である命の在り様を理解して、今の出会いが最後かもしれないという一期一会の心を大切にしたいと思います。そこに初めて周囲に対する優しさや時を惜しむ心が生まれてきます。
人はみな孤独だからこそ孤立しない生きかたを求め、孤立させない社会のシステムを一日も早く築かなければならないと思うのです。今年も残りわずかとなりましたが、一年を振り返り、よいお年をおむかえください。
住 職
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安洞院短信2009年12月号(第59号)PDF
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